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昼、父から連絡が来た。
最初に朝のことを詫びる父に、少しだけ柔らかい声で答える。
「もう気にしてません」
『そうか、良かったよ………それで、本題に入るのだが、ことりさんとお前の正式な結婚……つまり、婚約届けを出す日を決めて欲しいのだが』
「あー………分かりました、ことりにも言っておきます」
『頼んだぞ』
「ええ」
電話を切ると、ことりが顔を赤らめていた。
「……?どうかしました?」
「いや、えと……お義父さんの前だと『ことり』って言ってくれるんだね」
ああ、なんだその話か。
「ええ、それはもちろん」
「え、じゃあなんで呼んでくれないの?」
純粋に疑問に思ったように少し首を傾げて聞いてくる。
いやかわいいかよ。
「さぁ?なんででしょうね?」
ニヤリと笑いながら答えた私に、軽くポカポカと叩きながら「なんでぇ!」と怒っていることりに、反応が可愛いからですよ、なんて言えないまま、婚約届けの話を切り出す。
「父からの話なのですが……婚約届けはいつ出すのか、決めて欲しいそうです」
「あ、そっか………うーーん……真ん中バースデーの日とか?」
「……随分と懐かしいものを持ってきましたね」
小学生どころか、もう覚えてないような時のネタですよそれ。
「じゃあ調べてみよう!」
「何故」
鼻歌を歌いながらスマホで検索することり。
なんでそんなに行動力があるんですか……?
「………へぇ、6月14日……」
「もう過ぎてるじゃないですか」
今12月ですよ、ものすごく寒いです。
「じゃあ来年で…」
「遠いですよ、半年あるじゃないですか」
「………えー……」
そんな顔されても……。
「………クリスマスにでもします?」
「………………クリスマス?」
いや、怪訝な顔しないでくださいよ。
「ええ、逆にいないんじゃないですかね。クリスマス」
「………たしかに」
納得しちゃうんですか。
「………………………よし、クリスマスにしよう」
「じゃあクリスマスの夜にプロポーズしますね」
「わぁ……予告しちゃうんだね……」
「予告しちゃうんです」
「まじかぁ……」
「まじだぁ……」
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