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2回目のメンタルクリニックの日も3日程は覚醒剤をやらずに病院へ行った。医師に見破られるのが怖いからである。待合室で座りながら順番を待っていると、不意に後ろから声をかけられた。 「木村さん、木村由里さんですよね」 「はい」 後ろを振り返ると祐樹にそっくりな人が立っていた。由里は弟の春樹さんだと解った。 「こんにちは。僕は永井春樹っていいます。永井祐樹の弟です」 「祐樹から聞いています。たしかこの前も会いましたね」 「この前は友達のつきそいで来ていたのです。今日は木村さんに会えるかなと思って来ました」 「私に?」 「病院が終わったらお茶でも飲みませんか?少し話したい事があるんです」 由里は午後から仕事があるので、どうしようか迷ったがお茶位なら飲む時間があるので承諾した。 診察時間になり、看護師さんに呼ばれた。今回も不眠の話になって、睡眠薬をだして貰える事になった。覚醒剤の事は解らなかったみたいでホッとした。診察を終えると春樹さんが待合室で待っていた。 「薬局にいくのかな?」 「はい。1時間位かかると思います」 「薬局が終わったらここに電話貰える?」 春樹さんはそう言って、メモ用紙を差し出した。そこには名前と電話番号が書いてあった。 「はい」 「忙しかったらいいんだよ。無理には誘ってないからね」 「薬局が終わったら電話します」 薬局の前で一旦二人は別れた。一体話って何だろう。由里の病気の事だろうか。それとも覚醒剤の・・・。由里は嫌な予感を振り払って、薬が出来上がるのを待った。 春樹さんは駅から少し離れたカフェで待っていてくれた。今迄病院や薬局の人込みの中にいたので空いている店内に幾らか気持ちが和らいだ。由里はアイスコーヒーを注文すると、春樹さんに改めて挨拶をした。 「待たせてしまってすみません。木村由里です。仕事でイラストを描いています」 「永井春樹です。祐樹の弟で建築の設計士をやっています」 「聞きました。私はこの前会うまで春樹さんの事知りませんでした。祐樹は何にも言わなかったので。挨拶できずにすみません」 「気にしないでください。それより病院通い大変ですね。体の調子は大丈夫ですか?」 「はい。長年の不眠症です。それより話って何ですか?」 「祐樹の様子が変だと思いませんか?」 由里はドキリとした。やはり覚醒剤の事だ。春樹さんは気づいているんだ。
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