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「凄ーい。これ由里ちゃんが描いたの?」 職場に着いた由里は休憩時間に水彩画を会議室のテーブルに置いてみた。皆に見て欲しかったからである。それを見た宮嶋先輩が画を見て驚きの声をあげる。 「はい。少しづつ描いていたのですが一気に土曜日に完成しました」 「素晴らしい。今迄で一番上手く描けているみたい」 「そうですか?実は自分でも気に入っているんです」 由里も自分で描けたのが不思議なくらい良い出来栄えであった。永井さんに会ったからか。それともビタミン剤のおかげなのか。そういえばこのビタミン剤、説明書きが書いていない。一日にどれ位飲んだら良いのだろう。マンションに帰ったら、メールで永井さんに質問とお礼を言わなくてはいけないと思った。 その日の晩、由里は早速永井さんにメールを打った。 『永井さん、こんばんは。木村です。今日はサプリを有難う御座いました。頂いてしまってすみません。このサプリは一日に何錠位飲むのですか?』 すると間もなくメールの返信が返ってきた。 『木村さん、こんばんは。お仕事お疲れ様です。サプリの事ですが、最初は良く効くと思いますので、朝に3錠位飲むのがお勧めす』 そうか。なら明日の朝から飲んでみよう。 『有難う御座います。早速明日の朝飲んでみますね』 『はい。また明日、電車でお会いしましょう。楽しみにしてます』 永井さんのメールを確認すると、由里は眠る為にビールの缶を開けて、冷えたグラスに注ぎ、一気に半分以上飲みほした。 次の日の朝、由里は軽い朝食をとった後、永井さんに貰ったサプリを3錠飲んでみた。また元気になりたいからだ。その後コートを羽織り、自転車に乗って駅に向かう。ホームに着くと、永井さんが来るのを待った。永井さんは何時もの様に決まった時間にやってきた。 「おはよう御座います」 「おはよう。今日も寒いですね」 「今日は頂いたサプリメントを飲んできました」 「そうですか。良く効くといいですね」 「この前はとても良く効いて、水彩画が上手く描けたのです。上司にも褒められてビックリしました」 「それは良かった。きっと木村さんの身体に合うサプリなのかな」 そんな会話をしていると電車がやってきて、二人はそれに乗った。 少しすると由里の身体に異変がおきた。気分が高揚してきて、頭が冴えてきた。また絵が描きたい。そう思ったがこれから仕事である。
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