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居なくなった温もりを求めて…
重たいカーテンの隙間から漏れる光が、俺に朝を告げている。
今日もスマホのアラームよりも早く目が覚めてしまった。
もう春だというのに、俺の心はこのところずっと曇ったままだ。
俺はベッドのとなりにぽっかり空いた空間を、まるでそこに彼女が今もいるかのように、手を伸ばした。
ただやはりその手は空を切り、毎朝のその行為は、虚しさを確かめることにしかならないと俺に告げる。
いい加減に俺も学習しないとな…
春とはいえ、まだ少し朝は寒い。
彼女の温もりが恋しい。
彼女が来るまではズボラだった俺。
彼女と暮らすためにアパートも引っ越した。
もちろん、夜に多少大きな音を出しても大丈夫なように、防音対策もしっかりとした物件を選んだ。
今までは隣の人がティッシュの箱からティッシュを一枚取り出す音すら聞こえてきそうなアパートだったが、そんなとこに住み続けるほど、俺もデリカシーがない訳じゃないし、彼女も落ち着かないだろうと思ったからだ。
それからの生活は、気を使いながらも幸せだった。
彼女と一緒に寝るときは、大きな俺が寝返りを打って小さな彼女の上に乗りかかってしまわないよう気を使ったり、一組しかない掛け布団を独り占めしないように気を使ったり。
でも寒がりな彼女は俺の胸にいつも甘えたように潜り込んでくれた。
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