居なくなった温もりを求めて…

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“やめろよ” そう言いながらも、こんなダメでズボラだった俺のところに来てくれた彼女に、信頼されている、愛されていると実感できる瞬間でもあり、俺は嬉しかった。 それなのに…。 俺は時間を確認しようと、枕元のスマホのコードを手探りでたぐり寄せた。 「まだ6時前じゃねーか」 俺のアラームは6時30分と決めている。まだ30分以上ある。 朝の身だしなみを整える彼女のために、仕事柄トレーナーとジーパンで出勤できる俺が自分と彼女の朝食を用意するはずだった。 彼女が出て行ってできた空間を、そこにまるでまだ彼女がいるかのように、もう一度手を伸ばし、今度はその頭、その体を優しく撫でた。 もちろん俺の手は空を彷徨っている。 だが心の中に蘇った彼女の優しい寝顔が、俺の手のひらにその体温を思い出させてくれた。 切なさにグッとなりながらも、後20分は寝られると思い直し、掛け布団を頭から被った。
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