居なくなった温もりを求めて…

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どすっ。 布団を頭まで被ってて良かった。 やはり今朝も、彼女の波状攻撃が始まった。 今の攻撃は、ベッドの横のクローゼットから、俺の腹あたりに飛び降りたらしい。 この前布団から手を出して寝ていたら、執拗に爪でカリカリと攻撃された経験から、俺は身の危険を察したら、布団の中に全身隠れることにしている。 春になって夜が明けるのが早くなるとともに、彼女も早起きになり、一通り毛繕いが終わると、まだ寝ている俺に向かって、“エサまだか”攻撃を仕掛けてくるようになった。 寒い冬の間は俺よりも寝坊助だったくせに。 仕方ない。 起きますか。 「待ってろよ。今エサ出してやるからな」 「ミャ?」 今日も俺を無事起こすことに成功した彼女は、短く一言だけ発して首を傾げると、ヒョコヒョコと俺について歩いてきた。 「それ、反則だから」 俺はそう言って彼女をにらんだ後、苦笑いする。 まあしゃーねーなぁ。 惚れた弱みってヤツだ。 了
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