9人が本棚に入れています
本棚に追加
デストロイヤにこんにちは
もう少し早くこいつを殺しておけば。
重い重い自責の念が、痛みの次に私を襲う。
「ああ、君は今日も綺麗だ…この碧色の長い髪を!透き通った青い眼を!…この世に二つとない宝物を、すべて我が物にできる俺はなんて幸せ者なんだ…」などとこいつは嘯く。左手には粘着テープが握られている。薄暗い部屋の、いかにもな蝋燭がゆらゆらと揺れ、向こうの机に乗った注射針が見えた。また今日もだ。
「アイナ、愛しているよ」などと、よくもまあずけずけとわかりきった嘘を付けるものだ。いや、もしかすると本音なのかもしれない。全身の深い傷がまた、きりきりと痛む。私はいつものように、ただ、荒んだ瞳でこいつを睨みつけることしかできずにいた。
恐ろしい後悔の嵐はいつも私に、A(こいつのことだ。便宜上、こう表す)が生まれたその瞬間をフラッシュバックさせる。思い出したくもないのだが、私にとっていわば原罪のようなもので、どうしようもできない。
そう、Aを生み出したのは紛れもなくこの私であった。
最初のコメントを投稿しよう!