9人が本棚に入れています
本棚に追加
本当に奴は愛をもって、私を痛めつけているのだろうか?結局のところ私には、奴の気持ちは全く分からない。自分の生み出したやつのことだというのに、滑稽なものだと思う。
どちらにせよ、これ以上のことは、きっと私には耐えられないだろう。
と、その時扉が開いた。
入ってきたのはA。私が起きているのに気づいて、少し驚いたような表情をした。が直ぐにいつもの荒んだ表情に戻り、でも少し上機嫌に、軽く言い放った。
「アイナの血。すっげえ高値で売れた。ありがとな、もう一回頼むぜ」
目玉が転げ落ちるような衝撃だった。
今はとりあえず血さえ採らせれば満足そうなので、憎いこいつが鞭などをふるう前に従順に左腕を差し出し、さっさと血を吸わせた。そうやっているのはいいものの、しかし、私の血を売って何をするというのだろうか?理解が追い付かない。訊いても、「高い値で買ってくれる人がいんだよ」と、ぶっきらぼうに返され、それ以上は何も。
最初のコメントを投稿しよう!