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「そうか、アイナはもう駄目だな…なあ、アイナ、お前、妹がいたよな?アレスとかいったっけ…」
…何をふざけたことを言っているんだ。私を何だと思っているんだ。そのうえ私の心配は一切せずに、まさかこいつは、妹に手を出そうとでもいうのか。妹のことまで壊してしまうつもりなのか?
「な、何を言っているの」
はっきり言葉に出てしまった。震えが止まらない。
「お前の代わりだよ」
と、奴が言い放った瞬間私は、そばの鏡を掴んで奴に投げつけていた。バシャーン…鏡は粉々に砕け、奴は血を流して倒れた。その瞬間私は確かにこいつを殺したいと思った。そのまま私は涙があふれるのを抑えることができずに、その場に突っ立っていた。
「やってくれたなあ、てめえ…」
…奴は本当に強く、強くなっている。血だらけのまま立ち上がって私のほうを向いた。切羽詰まって、ギラギラした目で、私を睨んでくる。本当に、まだ弱いうちに殺してしまえば、こんなに苦しい思いはしなかったはずなのにと、後悔が募る。
おまけに私のことを棄ててアレスに手を出そうなんて。どうしてこんなことを考えるように、成長してしまったのだろうか。
「お前、私が生み出した存在だってこと、まさか忘れてないでしょうね」
と、荒い呼吸を抑えながら問うた。
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