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終業時間が来て、オレは会社を後にした。カフェで平山田と待ち合わせをして、二人で交わした暗号の通り、食事をしてホテルに入った。
先にシャワーを浴び、ベッドの上で待っている時、オレはスマホをいじっていた。
むろん、見ていたのは「リアルアカBAN」のアプリだ。
≪凍水聡のアカBAN、完了いたしました。1/100≫
やはりそうか、とオレは顎を何度も人差し指で撫でた。
「あと、98人まで、社会的に抹殺できる……。デスなんとかと違って、殺人罪になることもない。むろん、証拠も残らない……。罪悪感も、比較的少なくて済む」
オレがほくそ笑んでいると、シャワールームから平山田が出て来た。
一糸まとわぬ姿だ。
「おい、少しは恥じらいを持てよ」
嫌み交じりに言った。
「不倫している妻子ある人間に言われたくないわ」
平山田は独身で30代前半。気の強い女だ。顔はイマイチだが、割り切って付き合ってくるから、好都合だ。
「ふん、そんな男に抱かれる自分は、何なんだ」
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