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「オバケ屋敷は…逆にこっちがひたすら怖がる?」
こうして順調に準備が進んでいけば、セーラー服で学校を歩く、という高橋の夢が叶う。それも自然に。
そして、逆転祭当日になった。
学校は学ラン姿の女子生徒とセーラー服の男子生徒で溢れていた。これで高橋もセーラー服で学校を歩ける。しかし、俺の前に現れた高橋は学ラン姿だった。
俺は高橋の姿を見て思わず口にしてしまった。
「なぜ?」
高橋は俺に近づき、こそっと耳打ちをした。
「…だって、女子と同じ事したいもん」
そうか。
俺はこれが高橋のためになる、と思っていたが何もわかってなかったんだ。高橋は本当はセーラー服を着たかったのではない。女子として学校を歩きたかったのだ。俺は自分の浅はかさに肩を落としていると、高橋は飛び跳ねるように振り向いて言った。
「でもね、先生。こんなに学ランが嬉しい日は始めてだよ」
走り去るいつもの学ラン姿の高橋は、今まで見たことがない笑顔だった。これはこれで、よかったのかもしれない。
逆転祭りを楽しんでいる生徒を廊下から眺めた。高校生特有のキラキラした笑顔が校舎中に溢れかえっていた。
ふと窓ガラスに自分の姿が映った。
しっかし、俺はスカートが似合わないな…
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