逆転祭り

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逆転祭り

「先生。誰にも言わないでね。僕、本当は心が女なの。セーラー服で学校歩くのが夢なんだ」 高橋は普段柔道の練習では見せないような顔をしている。俺は高橋が部室を去るまで動揺を隠すのに必死だった。 高橋が??? さすがに教師を続けて何年も経つので、同じような相談を受けたことはある。しかし、高橋がまさか。 高橋がどれだけ柔道部に貢献したかと言い出すとキリがない。高橋は自分を犠牲にして、部やメンバーのために常に相手の事を考えるヤツだった。自分のやりたい事とか願望なんて高橋の口から今まで一回も聞いたことがなかった。 そんな高橋から、初めて聞いたやりたい事。俺は不意に思った。高橋の夢を叶えてやりたい。しかも誰にもバレない方法で。だから、俺は校長に逆転祭の開催を提案した。 逆転祭とは何か。 服装は男女逆転。学年も先輩と後輩逆転。全ての価値観を逆転する文化祭だ。校長は訝しげな顔をしたが、生徒会長をはじめ、生徒達は面白そう!と賛成した。俺は半ば強引に校長の承諾をとりつけ、早速準備を始めた。 「後夜祭のキャンプファイヤーはキャンプウォーター?」 「焼きそばパンはパン焼きそばで売るか」     
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