第1章 白星黒星

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 執事の命でメイド長がメイドに目から顎で指示してから少したち・・・そこに立っていたイライラ気味のメイド長が早口で声をあげた。  「早くなさい。」  「は・はい。」 カギを開けたメイドが今一度、腰を少し屈めながら小さなドアの方へ妃を促した。 妃はメイドをドアの方へ身体を屈めながら見た、はじめは怒り心頭だった妃も唇を噛みしめ黙るしかなかった。  《悪いのはメイドではない・・・悪いのは!王様?耳打ちした執事?・・・私は必ず這い上がってみせる。》 妃は、ドアの中に消えてしまう前に一旦身体を起こし180度回転、指先に衣を絡め掴み心を示すように腰を少し落とし最後の挨拶。 両手を差し出し我が子をこの手に隠すとドアの奥に消えていった。 妃が小さなドアへと屈む際に、頭を覆うメイドの手が優しさを感じた妃は、必ずこの者を味方につけると誓った。  「ねぇ、あなた名は?」 これから妃が、住まう事になる部屋の場所がまったく分からない不安を、打ち消そうとメイドに聞いた。  「わ・私の?」  「そう!あなたの。」
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