となりどうしのうらおもて

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*** どんな関係か、と問われたら、双子よりむしろ恋人に近いかもしれない。 それくらい僕らは、距離が狭いと自覚している。 明確に名前があるわけじゃなくて、色々な関係がドロドロ溶けて混ざり合ったみたいなマーブル状。 あえて線引きをしていない、とも取れる。 鉛筆を持って、境界間際で向かい合って笑い合ってるみたいな。 それが僕ーーー空(そら)と、その双子の妹ーーー陸(りく)の全てだ。 僕の左隣は、陸のもの。 陸の右隣は、僕のもの。 口に出したことはない。 でも互いに知っている。知っていることが、分かっている。 2枚しかないパズルのピースを埋めるように、それで小さな世界は完結してハッピーエンドであることを。 有り体に言って、「そこ」が僕らの居場所だということを。 統計的に、双子が生まれてくる割合というのは著しく低い。中でも一卵性双生児が産まれる確率は、小数点第一位の世界になる。 一卵性双生児というのは、なんらかの原因で一つの受精卵が二つに分裂することで誕生する。つまりは元々が同じ卵であるため、性別、容姿や血液型に至るまでが全く同じなのだ。 遺伝子が全く同じという点で、まさにクローン人間である、とも言える。 しかし、非常に稀なケースではあるが、性別の異なる一卵性の双子が誕生することもありうるらしい。 ーーーそう、僕らのように。 世界でも少数しかない例の内一つ。 説明のつけがたい、未知の領域である生命の神秘。 男と女で生まれてきた、一卵性双生児。 そんな特殊なつながりを持って、僕と陸はこの世に生を受けた。
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