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例えば、待ち合わせ。
――二号、待ちましたか
――一号ですか、いえ、四秒程度、誤差の範囲です
――そうですか。……二号、これはある程度こちらが遅刻しなければ話は進まないのではありませんか?
――ふむ、そうですか。では次は四時間ほど待機した前提でやってみましょう
例えば、ショッピング。
――二号、どうでしょう、似合いますか
――貴方なら何を着ても似合いますよ、一号
――それでは誉め言葉になっていません、もう一度です
――ふむ…………一号、服装というものの良し悪しと言うのはどこで決まるのでしょうか。身を隠し、暖を取れる以上の目的があるのですか?
例えば、喧嘩。
――一号、私と仕事、いったいどちらが大切なのですか
――その比較は破綻しています。仕事とは我々における演算に値するが、それは依頼されたがゆえに行う行為であり、それと二号という物体を同一の測りに乗せて比較することは、そもそも不可能であると考えます
――成程、正論ですね
他にも一号が休眠から目覚めた際には朝の一幕を模倣し、逆に休眠に入るときは、夜のひと時を模倣した。そのどれもが、ある意味では機械らしくもない無駄話の羅列だったが、それでも暇つぶしと言う目的を果たすには充分であった。
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