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◇
放課後。
私の家に着くと、尚ちゃんをドレッサーの前に座らせて、私は化粧品を並べていった。
「左から、ファンデーション、アイブロー、マスカラ、アイシャドウ、アイライン、チーク、あとは口紅とグロス」
「ちょ、美花、説明速いよ」
「ご、ごめんごめん。使いながら教えるね。って言っても尚ちゃんは、元がいいからそんなにメイクしなくても、大丈夫だと思うけどな~」
「そうかな? でも、やっぱり真人の前では、可愛い自分でいたいから……」
恥ずかしいそうに目を伏せる尚ちゃん。
私の胸はぎゅっと痛くなった。
しかし、そんな気持ちをすぐに取り払い、気を持ち直す。
「じゃあ、尚ちゃん、始めていこうか」
「うん」
「まずは……」
ひとつひとつメイク道具やメイクの仕方を教える。
尚ちゃんは私の言うことを一字も逃すまいと、メモを取っている。
ひたむきだ。
真人先輩もそんな一生懸命な尚ちゃんを好きになったんだろう。
長年、一緒にいる私ならわかる。
ベースメークを終えると、アイメイクに移る。
初メイクということで、アイシャドウは私が塗ることになった。
アイシャドウを塗り終えて、色の加減を見てみる。
目を閉じたままの尚ちゃんは、メイクアップされていつもよりも奇麗だった。
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