消滅日和

4/6
前へ
/6ページ
次へ
「いやー、よくわからん。心残りっていやあ、もうちょっと野球したかったなーってぐらいだけど。それももう引退したし……。うーん。なんでだろ。てか、マジかー!」  日下部くんは本当に死んだのが残念そうです。  なんでここに来たのか本当によくわからないけど、でも、今なら言えそうなのでわたしは言うことにしました。 「あの、日下部くん。こんなときに言うのもなんなんだけど……わたし、日下部くんのこと、ずっと好きだったの。それを……言いたくて、あの日もここで待ってた。でも、事故に遭っちゃって……ずっと言えなくて……」 「え? 嘘。それで、まだここにいるの? もしかして」 「うん……ごめん。気持ち悪いよね」 「いや、気持ち悪いっていうか、正直怖い。何? ずっといたってことは……」 「うん、日下部くんのこと毎日見てた」 「うわああ~~!」 「ごめん……ごめんなさい! ひ、引かないで!」 「いや、普通に引くよ。そうか。そうだったんか。まさかお前のせいで俺……?」 「いや、わたし、何もしてないよ。さっきの! 日下部くんは、ただ運が悪かっただけ……だと思う」 「運が悪いとか……はあ……」  こんな告白。  普通に考えても成功するわけないです。  ただでさえ、死んだばっかりで気分が落ちこんでいる人に、地縛霊が告白したって嬉しくなんかないに決まってます。 「うう……」     
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加