消滅日和

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 わたしはもはや泣きたくなってきました。  でも、涙なんか流れません。  だってもう死んでますからね。 「これから、どうすっかなあ……俺、ずっとお前とここにいなきゃいけないわけ?」 「いや、それはたぶん、大丈夫。きっと日下部くんはすぐ成仏できるよ。なにか間違ってここに来ちゃっただけだと思う。わたしも、もう心残りないから行けるし」 「行ける? 行くって、どこに」  わたしは人差し指を空に向けました。 「上……じゃくて下、かな。わからない。でもたぶんここじゃないどこか。もしかしたら行くとこなんてなくて、ただ無になるだけかもしれないけど。でも、悪くないよ。日下部くんには最悪な日でしかなかったかもしれないけど、うん。消えるには、わたしが消滅するには良い日だった。ありがとう。そして、ごめんね。ずっと見つづけてて」 「あっ、オイ……!」  言い切ったら、なんだかすっと体が軽くなって、どんどん周りの景色が薄くなっていきました。  周りが消えていくけど、でも本当はわたし自身がどんどん消えていってただけかもしれません。  でも、それを確認することはできなくて。  ただ、目の前の日下部くんがおろおろしているのを見ていることしかできませんでした。     
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