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翌朝
異臭が鼻を突き、目蓋を開いた。
周りが薄明るくなっている。
朝……ここは……?
そうだ、自分は令男たちに樹海に連れてこられたのだ。そして道に迷い……
それにしてもこの異臭は何だろう、隣にいるマナからする。
昨日、彼女と……
マナはまだ昌樹に頭を預けて寝ている。
違和感を覚え彼女を揺り起こそうとする。
「ヒッ!」
昌樹は悲鳴を上げた。
自分に頭を預けていたのは白骨死体だ。
でも、彼女が身につけているのはマナの着ていた服に間違いない。
昌樹は慌てて逃げ出し、何時間もかけてどうにか樹海から抜け出した。
令男と絵里香は樹海から帰っておらず、捜索願を出したが未だに見つかっていない。
そしてあの大きな古木も見つからず、マナと名乗った女性の亡骸も探し出せないままだ。
彼女は誰かに見つけて欲しくて昌樹を助けたのだろうか、それなら彼はマナの願いを叶えることができなかった。
それとも彼女自身の意思で樹海に留まっているのだろうか。
誤って樹海に来た者たちを、百鬼夜行から守るために。
-終-
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