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「…隼人、彼女に酷い振られ方でもしたのか?」
ボランティアに明け暮れる隼人の生き様を見て、俺は聞いてよいか悩んだが、口が滑ってしまった。
「どうかな。俺は彼女に相応しくないから身を引いた。で、彼女から離れるために、全てを捨てて、ボランティアで全国を回ってる」
俺と同じだと思ったが、隼人の場合は彼女のことを心底愛していても彼女を手放さないといけない理由がある気がして、さすがにそれを聞く事はできなかった。
隼人の部屋でビールを飲みながら、地域の人から頂いた料理に舌鼓を打つ。
隼人の部屋には机は無いから、床に使い捨ての容器に入ったおかずを置き、それをつつきながら、その後は、明日のボランティアについての話をした。
実家に戻っても用事もなく、土木や建築関係の勉強のやり直しは夏が明ける前までに終わらせてたから、俺は海外青年協力隊員として派遣されるまで、隼人とボランティアで日本各地を回った。
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