偶然という必然なのか side玲司

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千葉に新オープンした科学館に隼人が行きたいとリクエストしたから向かう事にした。 本当は行きたくない。 唯奈が建築デザインを手がけた科学館だから、唯奈と俺の能力の差を目の当たりにするのはつらいから、足を踏み入れたくなかった。 今、注目されてる建築設計士の堀田唯奈が俺の元カノと言っても信じて貰える話ではない。 だから、隼人から唯奈の建築デザインについての話が出た時に、適当に相槌をうっていた。 元カノと能力の差に耐えきれなくて別れを選んだ不甲斐ない俺。 海外青年協力隊員としてインドネシアに赴任して土木関係の仕事に取り組み、自分に自信を持てるようになりたい。 インドネシアで、一から、川を埋め立てたり、森林を切り開き道路を作ったり、橋やトンネルを建築したい。 そして、不便な街を住みやす地にしたい。 被災地の再建に携わり、人のために、便利な地にする仕事をしたいと思った。 唯奈の天才的な建築デザインはできなくても、土木の仕事にたずさわり、便利な地を作っていきたい。
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