同じ空の下で

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『難しかったけどわかったよ。女の子ってスイーツ好きだよね』    次の日本史の授業で早速返事がきていた。この言い方からやはり男子生徒で間違いないだろう。男の子のような荒っぽい字でないのに、その内容はただの男の子といった感じで、私は可笑しくて笑った。何度も文字を読み返していると『好き』という文字が私の目に入ってくる。綺麗な字で『好き』と書かれていると何故だかドキッとした。その気持ちを振り払おうと頭をブンブンと振って絵しりとりの続きをしようと鉛筆を持つ。そこにはおにぎりのようなものを人間らしきものが棒で殴っている絵が描かれていた。 「え、なんだろこれ……野球?」  野球だと『や』から始まることになる。相手が何か勘違いしているのだろうか。でもスイーツ好きだといっているし、相手はプリンアラモードだとわかっているはずだ。理解できなくて云々と考えているとタイムリミットが来たと言わんばかりに、授業開始のチャイムが鳴った。今日は小テストがあるため、机の落書きは消さなければいけない。私は急いで落書きを消しゴムで消すと、その場しのぎに教科書の暗記を始めた。
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