同じ空の下で

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「……はあ」  私はため息をつく。今しがた返ってきた日本史のテストの結果は散々だった。元号なんて覚えてなくても苦労しないし、と一人言い訳をしながらまたため息をついた。しかも前日進路希望調査票まで来てしまった。なんとなく持ってきてしまった進路希望調査票を眺める。一体私は何をしたいのだろうか、何が得意なのだろうか。勉強はそれほど得意ではないし、運動はからっきしだ。無意識のうちに机の上に自作の猫のキャラクターを書く。猫とコアラを合体させたネコアラはなかなか可愛く描けた。彼との机のやり取りはまだ続いており、今日もまた謎の物体が描かれていた。またわからないのでネコアラでお茶を濁す。わからなくても彼はいつも私の絵を褒めてくれていた。それが嬉しくて、絵を描く楽しさを最近覚え始めていた。 「小テスト散々だったよ( ノД`)今の元号の令和だけ覚えてればいいよね」  小テストの愚痴を書いて、窓の外の景色を眺める。もう外は日が落ちかけており、夕日が辺りを照らしている。オレンジ色の光が、教室にも注ぎ込む。彼もこの夕日を見たのだろうか。綺麗なオレンジ色を見ながら、私は「夕日きれい」と何の気なしに呟いた。
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