Prolog 遅延性シンドローム

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「僕のことは馬鹿にしてもいいけど、育美のこと馬鹿にしないでよ! 僕達にとってはこれが普通なの! イチャイチャなんか、してないから!」 「そーかよ」 「優真、怒ってる。笑」  奏多に呆れられ、和弦には更に馬鹿にされ、僕は頬を膨らませて拗ねる。  本当は和弦に言い返したいところだが、僕は和弦に言い合いで、勝てた試しが無いので辞めておく。 「そんなに怒んなよ。良いこと、教えてやるから」  少し虐めすぎたと思ったのか、奏多が僕のご機嫌をとり始めた。 「良いことって何?」  僕は頬を膨らませながら、訊ねた。 「神楽(かぐら)駅前に新しいカフェがオープンした!」 「えっ、本当!?」  神楽駅は僕の通う高校の最寄り駅から二駅降ったところにある。時間的には約八分、といったところだ。
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