55人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「彼女が出来た!」
僕、世良優真の親友である小鳥遊育美にそう言われたのは、高校一年生の夏のことだった。
ここはホームルームが終わったばかりの教室。
育美が大声で言うから、ざわざわとして騒がしかった教室に沈黙が流れて、みんなが僕らの方を注目した。
「そうなの? 良かったね! ちゃんと彼女のこと、大事にしてあげるんだよ?」
そんな沈黙を破って、僕は本心から出た言葉を言った。みんなが見ていて恥ずかしかったから、少し早口になってしまったかもしれない。
「うん……。どうしても、優真に一番最初に聞いて欲しくて……」
育美は恥ずかしそうに頬を赤く染めた。
こんな育美、初めて見たかも……。
いつも、カッコつけて、クールな感じなのに。
恋って、人を変えるんだね。
最初のコメントを投稿しよう!