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雪子ちゃんは、明美ちゃんとは違う意味で我が強い子だった。転校してきた初日、早速みんなで遊んだのだが、雪子ちゃんは堂々と100円バトルを断った。
「正直、おこづかいの無駄だと思う。どうして貴重なおこづかいを、こんな下らない遊びで使わなきゃならないの?」
「下らないとは何よ。高齢にも関わらず、今も頑張ってお店を続けている、松崎さんのお家に貢献出来るのよ。私達が買い物すれば、松崎さんは嬉しい。私達も良い買い物が出来る。どちらも幸せじゃないのよ」
「何で買い物に優越付けなきゃならないの?人の買い物に勝敗付けるって、おかしくない?」
雪子ちゃんのこの一言に、明美ちゃんはムッとした。が、初日だからなのかキレるのは耐えたらしい。もう良い!今日は公園で遊ぶ!と叫んで駆け出した。大喧嘩になるんじゃないかと成り行きを見守っていた私達はホッとした。気まずいギスギス空気はいらない。
「雪子ちゃん、明美ちゃんはうちらのリーダーだから、出来るだけ立ててあげて」
明美ちゃんを追いかけながら、私は雪子ちゃんにそう言う。
「嫌だよ。私は尊敬出来る目上の人しか立てたくない」
雪子ちゃんはキッパリと、私のお願いを断った。
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