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イシュクイナは眉根を寄せて、納得いかない顔をしている。彼女もまた正義感の強い女性だから、こういった事は嫌いなのだろう。
「ベリアンスの親父さんが、国から派遣された騎士だったんだ。たった一人……まぁ、左遷だな。でも真っ当な人で、俺達に自警手段として剣術や武術を教えてくれた。そうしてみっちり仕込まれた俺達は、国を頼りにする事をやめて自警団を結成したんだ」
それが、辺境義勇兵の始まり。最初は十数名だった勇士が、徐々に増えていった。みんな、十代、二十代の若者だった。
「俺達が何とか頑張って、夜盗は追っ払う事ができた。でも、遊牧民とかになるとなかなか勝てなくて、怪我人なんかを助け出すのが精々になった。悔しくて、更に頑張って強くなって、そのうち得意分野が分かれてそれぞれにその道を究めるようになって、ようやく遊牧民からも守れる様になっていった」
彼らは物が欲しいんであって、人を殺す事は目的ではなかった。綺麗な女性は戦利品だったから、そういう人は隠して。貧乏な家は襲わない、だから店や屋敷を重点的に守る。こういう事に気付いて作戦を練るのが、レーティスの役目。
ダンは、ひたすら戦っていた。
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