夫婦の時間(ダン)

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「友人というならむしろお前とはジジイやババアになっても付き合って行けると思ってる。一緒にいて心地よくて、戦場だって頼もしい」 「そうね」 「……俺が、恋情ってものを知らないままだったんだ。女と過ごす夜は知ってても、日常を共に、夫として寄り添う術は知らないままだ」  そう、結論づけた。帰り道、夜の生活が淡泊で少ない理由を考えていて、ふと思ったのだ。いい女で、料理も美味くて申し分もないけれど、これは恋情なのかと。友情の延長線のような感覚は心地いいが、このままでいいのかと。  良くないから、イシュクイナにこんな悩みが生まれたんだろうけれど。 「イシュナ、国も大分落ち着いてきた。キフラスも気を使ってか、地方仕事を積極的にしてくれている」 「そうね」 「だから、その……デートから、始めないか?」 「……え?」  思ってもみない言葉だったのか、イシュクイナはパチパチと瞬きをしてダンを見ている。宝石みたいな明るい青い瞳が、こっちをジッと見るのだ。 「恋愛、したい。お前を愛せる自信はあるし、今も側にいて心地よくてたまらん。だから、自覚と時間が必要なんだと思う。一緒に何でも無い買い物を楽しんだり、街で買い食いしたり」 「確かにデートだけど……」 「……嫌、か?」  嫌と、言われてしまったらどうしようか。随分失礼な奴なのは分かっているだけにドキドキだ。     
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