夫婦の時間(ダン)

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「ケーキ、食べたい。王都中央通りの」 「!」  こちらを見るイシュクイナが、少し恥ずかしそうな顔をしてダンを見た。 「あそこのケーキ、美味しいのよ。買ってきて、今日は夜にお茶にしましょう」 「おう!」  思わず立ち上がったダンを笑ったイシュクイナも立ち上がり、手を差し伸べてくる。その手を取って、まだ明るい雪道を二人で歩く背はもうとっくに、夫婦の距離になっていた。
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