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ガックリと肩を落としたレーティスをオーギュストが気遣うが、レーティスからするとこの気の長さの方が驚いた。確かに彼はセシリアの事も大切にしてくれて、二人で墓に手を合わせる事も多い。共に守っていこうと言ってくれた。
だからって、少し気を使いすぎじゃないのか。
「私がそんなに待てません。第一貴方は待てるのですか?」
「性欲は強くないし、自分で……」
「してたんですか」
僅かに顔を赤らめたオーギュストを見れば分かる。そうなると、後は溜息だ。
性欲が強くないのは、何となく分かった。触れ合いも本当に穏やかなものだし、キスも時々だ。でもまさか、自分で……
ジッとオーギュストを見れば、僅かに視線を逸らされる。こういう反応は珍しくて、ちょっと笑ってしまった。
「寂しい夜など過ごさずとも、話して頂ければよかったのですよ」
オーギュストの服の前を軽く開け、その肌に直接触れた。厚い胸板に、熱い肌。四十近いとは思えない引き締まった体は逞しくて頼もしい。
そこに女性のような柔らかさはない。けれど、それは自分も同じだ。それでも、欲情しているのだ。
「お願いです、今ここで私を抱いてください。私の不安も、焦りも全て拭い去ってください。貴方が嫌でないのなら、私を貴方のものにしてください」
胸元に寄せた体を、逞しい腕がしっかりと受け止める。そして覆うように確かな欲望のキスが交わされた。
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