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ベッドに移動するのも煩わしく、また興がそれては冷めてしまう。暖炉前の柔らかなラグの上、抱き合った体の熱を分け合うように乱れている。
「んぅ」
熱い肌を確かめるように背中に手を回したまま、レーティスは身を任せた。正直、こうした事は疎くて気が利かない。されるままに受け入れる事しか出来ない。
オーギュストの緑色の瞳が、男の色香を見せている。この人、こんな顔もするのかとぼんやり思っている自分がいる。
肌を滑る唇の感触が心地よく、少しくすぐったい。そして、体の芯を熱くしていく。
「辛くないか?」
「平気、ですっ」
指先が腹を撫で、ほんの少しくすぐったくて体が逃げる。だがそれを、オーギュストが留める。まるで逃がさないと言わんばかりに。
こんな事が嬉しい。僅かでも見せてくれる独占欲が嬉しい。
大きな手が包み込むように昂ぶりを握り込む。たったそれだけでゾクッとした感覚が背を走った。その手がゆっくりと上下していくと、このゾクッとした感覚は連続して、自分でするのとは違う強烈な快楽を生んでいく。
「あっ、やっ、あぁ、ダメです……っ」
くちゅ、くちゅ、と卑猥な音が聞こえてくる。先走りが溢れ出てオーギュストの手を汚している。ヌラヌラと照る自身の欲望は、彼の手の中で確実に大きく育っていく。
「嫌か?」
「ちが……で、もっ! あぁ!」
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