悲しみの先へ(レーティス)

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 喘ぎ、息を吐き、時に嬌声を上げて、レーティスは強く抱きついたまま果てた。二人の腹を汚すように、二度目とは思えないくらいたっぷりと吐き出していく。  その腹の中、とても深い部分に熱を感じた。打ち付けるように何度か抉られながら受けた最奥への愛情は、こんなにも愛しくて幸せでならない。 「レーティス」  柔らかく名を呼ばれ、ぼんやりと涙の浮いた目で見上げながら求めるようにキスをした。深く彼を感じながら甘える様にするキスは、全てが蕩けるようだった。  暫くそうして求め合って、互いの体を温めていたが流石に寒くなった。汗もかいたし、外気は冷たい。このままでは風邪をひいてしまうと、オーギュストが上着を着せてベッドまで運んでくれた。 「すぐに湯を用意しよう。その後は、遅くなったが少し食べるか」  髪を撫でる手に甘え、出て行く彼の背を見ると少し寂しい。抜け落ちてしまった部分からトロリと、彼から受けた愛情が溢れ出てしまう。 「もったいない……」  ぽつんと呟いて、指ですくってみる。指先に触れたトロリとした白濁を、レーティスはぼんやりと見て笑みを浮かべた。 「お風呂でもう一度、誘惑してみましょうか」  何度でも欲しい。何度でも感じたい。悩み続けた日々を埋めるように、レーティスの欲求は深まるばかりだった。
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