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「あぁ、俺もそれを思いだしていた」
「うちのお父ちゃんなんて、私とキフラスさんは付き合ってるんだって暫く思い込んでたんですよ」
「そうなのか? それは、すまない事をしてしまった。年頃の君に対する配慮が足りなかったな」
「そこなんですか?」
「?」
他に何か、配慮に欠ける所があっただろうか?
疑問に思っていたが、どうやら怒っているとか、困った事があった訳ではなさそうだ。
「まぁ、そういう所がキフラスさんですよね?」
「?」
「いえ、なんでもないです」
やはり女性は難しいらしい。義姉のようにはっきりとした女性の方が珍しいのだろうから。
やがて帝国側の砦に到着し、明日の仕入れの時間にここでと約束をし、ついでに帝国の騎士とも少し話をする。そうして帰る道すがら、遠く花火の上がる音が響いて空を見上げた。
新年を知らせる帝国の花火が、とても小さく夜空を彩っていた。
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