子犬のワルツ(リオガン)

1/15
437人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ

子犬のワルツ(リオガン)

 十二月も、終わり。もう少しで一年が終わる。  ジェームダル王都に小さな家を借りて住み始めて数ヶ月。ようやく慣れた気がしている。 「リオガン兄ちゃん!」  教会兼孤児院にいる子供が数人、走り寄ってきて抱きつく。それを受け止めて、リオガンは控えめな笑みを浮かべた。 「兄ちゃん、今日は雪合戦しようぜ!」 「えー、一緒に雪だるまにしようよ」 「寒いから中でご本読んで」  子供達の沢山の要求に、リオガンは少し困りながらも頷いた。 「まず、雪合戦しよう。雪だるま、先に作ってて、ね? お昼ご飯食べたら、ご本、読もう」  一つずつ確認するみたいに伝えると、子供達は素直に「はーい」と言ってそれぞれ散らばっていく。  子供達が庭に出て走り回るのを見ていると、教会のシスターが笑いながら近づいてきた。 「リオガンさん、いつも有り難うございます」 「あの、いいえ」  ペコリと頭を下げたリオガンに、シスターはくすくす笑っていた。  アルブレヒトの仕事の手伝いは今もしている。けれど空いた時間で、教会の助けをしている。     
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!