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夫婦の時間(ダン)
一年が終わろうとしている中、ダンはアルブレヒトに呼び出されていた。
「ダンクラート、お前イシュナとはどうなのです?」
「……え?」
仕事の話だと思っていたら、まったく違う話題に目を丸くする。その先でアルブレヒトは盛大な溜息をついた。
「上手くいっていないのですか?」
「いや、そんな事はないと思うけど……」
「ですが、イシュナは何か悩んでいるみたいですよ」
思い当たる事は、ある。そして原因はダンなのだ。
「彼女には子供達の相手をしてもらっていますから、よく話をするのですが。なんでも、夜の時間が少ないとか」
「ぐはぁ!」
なんて話を王様にしてるんだ彼女は!!
顔を真っ赤にしたダンに、アルブレヒトは溜息をつく。そして、トントンと机を叩くのだ。
「何か、問題がありましたか?」
「いや、そんなんはねぇよ! でも、あの……」
「どうしました?」
「……俺にはちと、上等過ぎるというか」
「はぁ?」
分からないという顔をするアルブレヒトに、ダンは軽く頭をかいた。
「俺には学もなければ、育ちも良くねぇ。がさつで、デリカシーなくて、見た目だっていいわけじゃねぇよ」
「彼女だってわりとがさつでデリカシーないですよ?」
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