本当は

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「拝啓異地の友へ。こちらは日本。外を歩けば三日前に降った雨の水溜りがこの地の異常を表現しています。そちらはどうでしょうか。さて遅れながらではありますが自己紹介をさせて頂きます。ミウラタロウ。この地の有力納税者であります。このような自己紹介になるのも、私には他に取り柄がないからであります。ただ友がほしい。ただそれだけなのです。」 手紙のやり取りを持ち掛けたのは私です。 ただ、話し合う相手が欲しかった。その気持ちに嘘偽りはありません。 しかしこの手紙。嘘だらけ。真っ赤っかな手紙でした。 そして2通目の手紙も、そしてそれ以降の手紙すべて。 きっと今あなたは怒っているでしょう。 しかし1つ聞いてほしい。私はとても驚いているのです。私は手紙に返信先などは一切書いていなかったはず。何故返事が返ってきたのか。ただ海に流したその瓶に。 瓶を流した数日後に。見慣れない、私のポストじゃまず見ない便箋の郵便物。
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