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本当は
海には貝殻。山には栗。そして空には雲。きっと人生に疲れてしまったのだろう。何の意味ももたないそれらに意味を添えてしまう。
ただそれを紙につらつらと書いていたそれだけだった。
時には誰にも言えない秘密を。時にはただ感情のままに口には出せない汚い言葉を紙に書き殴ったりもした。そして時にそれらを燃やして忘れたり、怒りのままに破ったり。
それだけのことだった。
別段字を書くのが好きだとか、それを日課や趣味にしてると言ったこともない。
でも人生の1%にも満たないそれに、人生の大部分の何かを救われていたのかもしれない。
時々書くそれは何だかんだで長くなった。
塵も積もればとは言うが、そこそこな量書いてると時折いいものが書けたりする。
そうすれば何だか燃やして流してさよならするのが勿体なく感じてくる。
そしたらコンピューター。
カタカタ打って、ワンクリックで色んな人と共有できる時代。
でもすぐやめた。カタカタは何だか仕事と重なって逆に疲れてしまう。時々間違って文章を消してしまったり。新たなイライラまで生み出してしまうもんだから溜まったもんじゃないって。
それでただの思いつきで家を出た。手には空の瓶と、紙一枚。
空の瓶はスーパーでジャム買って中身捨てて手に入れた。(少し匂いが残ってたかな笑)
紙には文章。いつもと少し違った誰か宛の文章。どうしても拾って欲しくて、どうしても誰かに読んでほしくてお金も入れた。その時の手紙、あなたは覚えているでしょうか。
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