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お湯に浸かりお風呂の淵に両手をかけて、彼が自分の身体を洗うのをぼんやりと見ていた。
「……そうやってると、ホントに猫みたいだな…」
ふっとやさしげに笑う。
普段の顔は恐いけど、この人の笑った顔は好きかもと感じる。
人を一瞬で虜にするような、柔らかな雰囲気が漂う。
「…ミィ、俺に拾われてよかったか?」
「…えっ?」
と、首を傾げると、
「……かわいいな、おまえ」
と、頬に手があてがわれた。
「オトコなのにな…なんかかわいいわ。おまえって…」
頬を撫でて呟いて、
「……いっぱい、かわいがってやるからな」
洗い立ての濡れた髪を、手の平でグッと掻き上げられた。
……この人の真意が、まだよくわからない。かわいがるって、猫としてってことなのかな……。
……これから、どうなるんだろう……。ふとそんな風にも考えて、浴槽の淵にそっと頭をもたせかけた……。
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