1章 捨て猫のミィと、拾ったホスト

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お湯に浸かりお風呂の淵に両手をかけて、彼が自分の身体を洗うのをぼんやりと見ていた。 「……そうやってると、ホントに猫みたいだな…」 ふっとやさしげに笑う。 普段の顔は恐いけど、この人の笑った顔は好きかもと感じる。 人を一瞬で虜にするような、柔らかな雰囲気が漂う。 「…ミィ、俺に拾われてよかったか?」 「…えっ?」 と、首を傾げると、 「……かわいいな、おまえ」 と、頬に手があてがわれた。 「オトコなのにな…なんかかわいいわ。おまえって…」 頬を撫でて呟いて、 「……いっぱい、かわいがってやるからな」 洗い立ての濡れた髪を、手の平でグッと掻き上げられた。 ……この人の真意が、まだよくわからない。かわいがるって、猫としてってことなのかな……。 ……これから、どうなるんだろう……。ふとそんな風にも考えて、浴槽の淵にそっと頭をもたせかけた……。
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