1章 捨て猫のミィと、拾ったホスト

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ホストっていう職業柄もあるんだろうけど、いくら飲んでも彼の方はちっとも酔わなくて、顔にも少しも酔った素振りは出なかった。 テーブルの上に、空き缶が増えていくにつれて、とろんと眠たくもなってくる。 「…なんだよ、眠いのか? おまえ」 覗き込まれて、 「…じゃあ、いっしょに寝るか?」 と、顔を近づけられたかと思ったら、 ふいにチュッとキスをされた。 「…ん、」 驚いて唇を拭う。男の人とキスしたことなんて、今までなかった。 「猫だって、キスぐらいはするだろ?」 そう言われて、(また、猫なの…?)と、感じる。 「……猫とはするかもだけど、でも男どうしでキスするなんて……」 ボソボソと言いながら、キスされた唇を指でいじると、 「別にキスなんて、あいさつ代わりだろ。誰ととか関係なく」 そうあっさりと返されて、 「……そうやって、唇とかいじんなよ。……もっとキスしたくなるだろうが」 またふっと顔が迫ったと思ったら、避ける間もなく口づけられた。 「……んっ、」 唇が離れると、もしもキスさえも彼にとっては猫にするような軽い感覚でしかないんだとしたら、 自分は男の人とは初めてだったのにと、なんだかちょっと寂しくも感じられるみたいだった……。
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