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俺、白石 一葉は高校の正門を前に、長く重いため息をついた。
_______学園冷泉
今日からこの学園で、青春の1ページを過ごさなければならない俺だけど、心底帰りたかった。
なぜならここ…冷泉学園は、超名門の
男子校だからだ。
俺がこの学園に通うことになったのは、ちょうど一週間ほど前。
両親が海外に赴任することになり、国内に残ることを選んだ結果、母は自炊能力が皆無な俺を慮って全寮制であるこの冷泉学園を推してくれた。
それから俺は必死に勉強して、特待生としてこの学園に入学することとなったのだ。
…まあ、そんなわけで、今俺はあまりにも豪奢な私立高校の目の前にいる。
だが、豪奢とて所詮は男子校。しかも全寮制。
歩いてたら必ず男に当たる、そんなところだ(違う)
むさっ苦しいったらありゃしない。
でも……誠に不本意ではあるが、決まってしまったものはしょうがない。
そこそこやってのけなければ。心底帰りたいけど。なんなら今すぐピンポンして全力ダッシュしたいなくらいの気持ちはあるけど。
…そんな弱々しい意志を固め、俺は、青春への第一歩を踏み出した。
刹那。
「うわあああああああああああ!!
避けろおおおおおおおおお」
嵐が、来た。
…いや、正確には、“降ってきた”。
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