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「ダイフクってさぁ、いつも休みの日は何してる?」
「え?私ですか?そうですね、洗濯とか部屋の掃除ですかね」
「あとは?」
「あとですか?あと……あ、お料理とかもしますよ。お弁当のおかずの作り置きとか。それからパンも作ったりします」
「それだけ?出掛けたり、趣味とかは?」
正直外に出るのはあまり好きではなかった。
周りから自分がどんな風に見られているのか、嘲笑の対象になっているのではないか、と他人の目が少しだけ気になる。
「基本家に居るのが好きなので、出掛けたりはあまりしないですよ」
「て事はいつも暇って事だよな。なら今度の日曜出掛けようぜ?ダイフク好きそうかなって思って美術館のチケット貰ったんだ」
ヒラヒラと見せられたチケットは郊外の大きな公園の一角にある美術館。
今はアニメーション映画の背景画家さんの美術展を開催していると新聞に載っていた。
記事を読んでいつか行ってみたいと思っていた。
思っていた。それは本当。
でも、それはあくまで『一人で』であって『彼と』ではない。
返事に戸惑う。
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