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今日は玲がやって来て五十五日目の土曜日。僕と玲は神戸に行くことにした。もう、玲との生活も半分を切っている。何か記念になるようなものも欲しかった。
神戸に着くと、僕たちは神戸中華街──南京町──で昼食を摂った。まるで毎日がお祭りのような街で、僕たちは肉まんやらフカヒレラーメンやらを店先で買って食べ歩く。
十分にお腹が満たされたところで、歩いて北野の異人館街へ向かう。北野の異人館街は、かつての洋館が立ち並び、まるで異国のようだ。僕たちはいくつかの洋館を回った後で、オランダ館に入った。
「ここではオリジナル香水が作れるんだよ」
僕が言うと、玲は興味津々に、
「それって自分で調合できるってこと?」
と笑顔で尋ねてくる。
「調合は専門の職員がやってくれるんだ。いくつかの匂いを嗅いで、それを元にアンケートに答えると、自分に合った香水を作ってくれるんだ」
「楽しそう」
「折角だから、作ってみたら?」
「いいの?」
「もちろん」
僕が答えると、玲は満面の笑みを浮かべた。
受付を済ませると、玲は早速サンプルの香りを確かめ、アンケート用紙に書き込み、職員に渡した。
「すみません、その香水、同じものを二つ作ってもらえますか?」
僕は職員に頼んだ。
「同じ調合のものを二つですか?」
「はい」
「かしこまりました」
職員は笑顔で答えた。
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