太陽と影

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「あの2人っていつも一緒にいるよね」 周りからそう言われた時に次に続く言葉は決まって「太陽の子はいつも明るく照らしてみんなを引っ張ってくれるね」だった。 私のことは太陽の子にくっついてる腰巾着のように思われていたのだろう。それでも私はあの子と一緒に居るのが幸せだった。あの子も屈託のない笑顔でいつも私に言ってくれた。 「私は影の子のあなたと一緒にいたいんだ」と。 あの子は太陽の子だ。だからこそみんなをいつも暖かく照らしている。そんな彼女を周りはありがたがる。 「私には悩みがあってどうしたらいいかわからない。」 「僕はこれから一体どこに進めばいいの。」 「気持ちが暗く沈んだままなんです。昔みたいに元気になりたい」 そんなことを彼女に言う人達もたくさんうんざりする程毎日、毎日やって来た。けど優しい手を差し伸べて時には身体を張ってまで彼女はいつもそんな人達を正しい方へと導いていた。 子供が心から大好きな遊びをしている時のような笑顔をしながら。 そんな彼女の後ろに私はいつもくっついていた。 最初に彼女と出会った時に私に彼女は不思議そうに聞いてきた。「どうしてあなたはいつも何かの後ろにいるの?」 私は影の子だから前には出れないの。特にあなたの前だと特にね。だって眩しくて明るくて暖かくて輝いていて‥。そんなあなたの前だと私はきっとすぐに消えてしまうから。 「そっか、そしたらさ私の後ろに一緒にいてほしいな。でもね‥、いつかもし、もしあなたが私の前でも消えなくなったら一緒に私のとなりを歩いてほしいんだ」 ‥‥いいの? 「うん、せっかくこうして同じ世界にいて出会えたのにとなりに立って一緒に生きられないなんて私は嫌なの」 私は言いたい言葉が何も言えずそのまま彼女の気持ちを感じる手をとった。 それからの私は彼女に着いて色々な世界を見て周った。 植物なんか全く生えていない砂だけの世界や一面氷に覆われて雪が長く長く降り続けている世界。綺麗な緑の沢山ある空気の美味しかった植物の世界、とっても大きな鋼鉄製のビルが立ち並ぶ世界なんかも見た。 私がそれらの世界に目を奪われていた中で彼女はそんなものに目をくれずただその世界にいる人たちの為だけに生きているようだった。 どんな世界でも彼女はその持ち前の暖かさや明るさで周りの話を聞いて力になっていった。
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