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でも彼女を疎む存在だって世の中にはいる。
「私たちの世界に勝手に対して勝手なことをするな」
「誰もお前なんかに助けを求めていない」そんなこと真正面からぶつけられることもあった。
私は後ろにいたせいで彼女の表情は分からなかったがきっと笑っていたんだろうな。だってそれでも周りを明るく優しく照らしていたから。
そしてそんな彼女には何人もの慕う者たちが集まった。影の子である私には出来ないであろうことを彼女はいとも容易く呼吸をするかのようにやってのける。
いつしか私には彼女のとなりにいたいと思う気持ちよりもこんな私が彼女の後ろにへばりついていていいのだろうかという気持ちが生まれた。
彼女は周りを幸せにする。しかし私はただその太陽の子の後ろにいるだけだ。ただ何もせずにそこにいるだけの明るくこの身を照らされればすぐに消えて居なくなってしまう存在である。
そんなことを思って世界を数えきれないほど巡っていても彼女は私を決して消そうともせずただ後ろに居させてくれた。
そんなある時、彼女から突然の別れを告げられた。
「私はこれから半分世界を巡る時をあなたと一緒にこれまで通り過ごすわ。けどもう半分の世界を巡る時は1人で過ごさなければいけない」
「どうしてなの?」
「それが子どもではなくなるということよ」
「私はあなたがもう半分の世界を巡る時どうすればいいの?」
「きっと私がいない世界は冷たく、暗く、寂しく、泣きたくなるようになるわ。でもね、その世界はきっとあなたにとっては居心地がいいはずよ」
そう言って太陽の子は再びその歩みを次なる世界へと進めた。私はその後を静かにいつものようについていく。
そうして半分の世界を巡った時彼女は一言「またね」と呟いた。
「うん」
彼女が照らさなくなった世界は真っ暗になって何も見えないどうしようもない怖さが手を伸ばせばすぐそこにある世界だった。
左の方から泣き声が聞こえれば右からは叫び声が聞こえるような。
けどまた半分の時が経てば太陽の子は戻って来て世界に光が戻るって「やあ」と私に言うと、私は「行こう」と返してまた世界を半分の時が来るまで巡った。
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