太陽と影

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彼女といる時は昔からの何も出来ない照らされれば消えてしまう私だったが不思議と何度も世界と時を巡ると変わるものであり、彼女がいない半分の時の間、私は世界を1人で巡っていた。 おそらくこの何も見えない暗闇の世界が私にその世界を全て覆ってしまっているような錯覚を味あわせていたせいだろう。 私は世界を巡りながら周りの者を彼女の見よう見まねで照らしてあげようと考えた。 初めは周りの者は皆、私の手を拒否したり暴言をぶつけたりして来ることを拒んでいた。 しかし、この暗く冷たい世界で彼女のような温もりを求めていたのだろう。だんだんと私の手を取る者は増え助けを乞う者を出てきた。 そして彼女のように身を呈して私はそれらの者を照らそうとした。 きっと暖かくはなかっただろう。優しくもなかっただろう。本来いるはずの彼女と比べればただ薄暗く照らすだけの必要とされるはずのない影の子の私だ。 そして時が来れば彼女と2人で世界を巡る。 いつしか私も子どもではなくなっていた。 彼女も子どもではなくなり、自身の使命を全力で果たしている。私は彼女のとなりに一度も並ぶことが出来ず、これから彼女のとなりに立つことは出来ないだろう。 けどこれでいい。 この世界で出会えた私たちはそれぞれ半分の時と世界を巡りながら司ることになっていたのだから。 反対の存在であっても私たちはこの世界に一緒にいる。私と彼女にとってはそれはとなりにいることよりも幸せだと感じるのだから‥‥。 「ねえねえ、いつもあの2人一緒にいるよね」 「うん、でも半分の時であの2人は別々の世界に分かれるんだよ」 「そうなんだ。えっと、あっちの前にいるのが太陽で後ろにいるのは?」 「あれはね、暗く冷たい半分の世界を照らしてくれている元々は影の子って言って今は‥」 「月だよ」
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