モフモフがモフモフでなくなる時。

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モフモフがモフモフでなくなる時。

モフモフはいい。 モフモフは世界を救う。 私は光に反射して輝くようなきれいな毛並みをした長毛種の白猫だ。 今日も今日とて朝から毛並みを整えるのに余念がない。 私は自分のこの毛並みに自信を持っている。 まるで宝石の輝きとでも言える純白の毛。 その毛並みをせっせと整える姿を人は皆、顔を歪めて見惚れる。 黒猫の艶めく黒い毛。三毛猫のカラフルな毛並み。真っ白な私は彼らのそういう毛並みに憧れる部分もあるが、やはり私にはこの白い毛が合っている。 猫はこの世界において、いわゆる勝ち組だ。 この愛らしく美しい顔立ち、しなやかな身のこなし、そしてモフモフ。 100%とはいかずとも、猫を見て顔を歪めない人間はそうそう居ない。 ほら、毛づくろいをする私を横目でチラチラと撫でたそうにしている輩が居る。 コイツは私の飼い主だ。 飼い主という名目ではあるが、この家の主従関係は私の方が上だ。 コイツはいわば、私の召使のようなもの。 飯を運ぶ人間だから、本当に飯の使いみたいなものだ。
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