160人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも離れられないのは、私が晃を好きだから。
惚れたものが負け。
まさにその通りだと思う。
涙がじわりと目に浮かんで。
それがこぼれ落ちる前に、二人の前から立ち去った。
「坂梨さん?」
俯きながら廊下を歩いていると、誰かに声をかけらる。
思わず前を向くと、涙で歪む視界には、同じクラスの男の子である長谷部くんの姿が映っていた。
「えっ、どうして泣いて」
「な、泣いてないよ!じゃ、じゃあまた明日ね!」
慌ててもう一度俯き、立ち去ろうとしたけれど。
長谷部くんがそれを許してくれなかった。
「泣いている坂梨さんを一人にはできないよ」
優しい長谷部くんが見せた、真剣な表情。
私は彼に甘えることにした。
最初のコメントを投稿しよう!