意地悪しないで

4/16
前へ
/16ページ
次へ
誰もいない空き教室。 長谷部くんは私を椅子に座らせ、自分も向かい側に座った。 俯いて涙を流す私の頭を、長谷部くんは先程からずっと撫でてくれている。 「あいつといて、坂梨さんは幸せ? 辛いだけじゃないの?」 優しい声音。 晃とは真反対だ。 「辛い……けど、好きだから」 好きだから、離れたくない。 これからもずっと、晃のそばにいたい、となりにいたい。 晃のとなりにいるのが他の女の子だと、どうしようもなく苦しくなる。 それなら、意地悪されてもいいから、私は晃のそばにいたいと思うの。 きっとこんな私のことを、長谷部くんは呆れることだろう。 馬鹿な奴だって、思われるかもしれない。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加