意地悪しないで

8/16
前へ
/16ページ
次へ
その瞬間わかったんだ。 また私は騙された。 優しい顔をして、私の腕を掴む手はきつくて強引。 「あ、晃…」 「うるさい黙れ」 廊下に出ると、晃の声は冷たいものへと変わる。 これで映画館に行くのだろうか。 そう思っていたけれど、映画館に行くことはなく。 連れてこられたのは、私の向かいの家である晃の家だった。 中には誰もいない。 晃のママとパパは共働きで、夜が遅いのだ。 「晃、どうして家なんか…」 晃の家に来たのは久しぶり。 最後に来たのは数ヶ月以上前だろうか。 「何回も言うけどうるさい。黙れよ」 乱暴な物言い。 晃は私のことをどう思っているのだろう。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加