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その瞬間わかったんだ。
また私は騙された。
優しい顔をして、私の腕を掴む手はきつくて強引。
「あ、晃…」
「うるさい黙れ」
廊下に出ると、晃の声は冷たいものへと変わる。
これで映画館に行くのだろうか。
そう思っていたけれど、映画館に行くことはなく。
連れてこられたのは、私の向かいの家である晃の家だった。
中には誰もいない。
晃のママとパパは共働きで、夜が遅いのだ。
「晃、どうして家なんか…」
晃の家に来たのは久しぶり。
最後に来たのは数ヶ月以上前だろうか。
「何回も言うけどうるさい。黙れよ」
乱暴な物言い。
晃は私のことをどう思っているのだろう。
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