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「君がそれを押すのを、僕は黙って見ている。  君、こういう妄想はしたことが無いかね? ハエジゴクに挟まれていく蠅は、全てわかっていて挟まれに行く奴もいるんじゃないかって。その先に破滅が待っているのを、うっすらと判っているのに、好奇心には抗えない」 「蠅は好奇心を持たないと思います」 「そうかね? しかし、人間も時として、本能から来る警告よりも好奇心を優先すると思うのだが。いや、むしろ、思考で好奇心を擁護し、本能を無視――」  俺は再生ボタンを押した。
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